最近は、TRPG未経験者が最初に触れるTRPG作品はクトゥルフ神話TRPG(以下、COCと略)なのだそうです。
その傾向は、AMAZONの売上ランキングやニコニコ動画の再生数にもみられますし、Twitterやブログには学校の書店にCOCのルールブックが並んだという画像や、女子大生がスカイプで遊んでたというような報告もあります。
AMAZON
ニコニコ動画
・クトゥルフ神話TRPG 再生数の多い順1位 再生2,913,104
・ソード・ワールド2.0 再生数の多い順1位 再生370,045
こんな未来を予見できたのは、俳優の
佐野史郎さんくらいのものでしょう。(COCのコアなファンだそうです)
僕は、というと、原作のラグクラフト全集ですら、どこまで読んだか覚えていません。
小説家や漫画家にも原作ファンがいることくらいは承知していますが、COCのことはSAN値くらいしか覚えていません。
では、なぜCOCが流行っているのか?
→いくつかのブログでは、リプレイ動画がヒットしたためだと結論づけています。これについては、異論がありません。
では、なぜCOCリプレイ動画が流行ったのか?
→これについては、合点の行く理由がみつけられませんでした。
まず、SAN値がネタとして受け入れられたという説は、SAN値は20年前からあったことを考えると、合点がいきません。
SAN値がそこまで破壊力のあるアイデアなら、もっと以前から流行していたはずです。
次に、システムが動画配信に向いていたという説ですが、掲示板やチャットでのプレイに不向きなソード・ワールドRPGが長年に渡ってオンラインプレイの主流であったことを考えると、やはり合点がいきません。
そもそも、あるTRPGシステムが遊ばれるかどうかは、システムの出来ではなく、メンバーの集めやすさで決まります。(断言
いろいろ考えましたが、COCの「危険から生き延びる」ゲーム性が、全盛期を過ぎたとはいえまだまだ流行中の「脱出ゲーム」の雰囲気に似通っていて、強力に後押しされているのではないかと考えます。
かつてはソード・ワールドRPGが、潜在的なファンタジーブームの後押しと、入手しやすいドラゴンマガジン誌上でのリプレイのヒットによりTRPG未経験者を魅了してプレイ人口を増やし、TRPGの代名詞的存在となりました。
同様に現在はクトゥルフ神話TRPGが、潜在的な脱出ゲームのブームの後押しと、視聴しやすい無料動画サイトのリプレイ動画のヒットによりTRPG未経験者を魅了してプレイ人口を増やし、TRPGの代名詞的存在となったのではないでしょうか。
ある日、突然、女子大生がTRPGに興味を持ち「SAN値がいいよねw」とか言いながら動画を探したとは、やはり考えにくい。
流行が先にきて、流行物に飛びついた。でも安っぽく見られたくないからそれっぽい理由として持ち出したのがSAN値。
そう考えると、女性にはよくみられる習性であり、合点がいきます。
そして女性がいる場所には、必ず男性が群がります。
試しに「クトゥルフっぽい脱出シナリオをソードワールド2.0で遊んでみた」というタイトルで、戦闘のないリプレイ動画でもつくってみたら、案外ヒットするかもしれませんよ。
余談ですが、1ページTRPGには、サイコロを振ってお題を決め、即興で演技するという作品が多いように思われますが、これはひょっとしたらCOCの「狂気に侵され、即興で面白いことを言う」様子が、大喜利と結びついて生まれたアイデアなのかもしれないと思いました。COCリプレイ動画の流行と、1ページTRPG誕生の時系列が気になりますね。